最上くんに有無を言わさず次へと進む由良くん。
こんな光景、最近見たような、と錯覚を起こすのは若干トラウマなあの由良くん無茶ぶり事件。思い出すのはやめて、前に向き直す。
そういえば二人は仲が良くて、一年生の時から同じクラスで部活も一緒、話しているのをよく見る。
誰も手をあげない中、「はーい!」と月ちゃんの可愛らしい声が真ん中にいる彼へと向けられる。
「...芹沢は予想がつくから言わなくていいけど」
「桜名弥衣を推薦します!」
自分の名前が呼ばれて、肩がビクッと震えた。おかげで持っていたシャープペンの芯が折れてしまう。
前の席に座る月ちゃんの声は、後ろの席の私の耳までちゃんと聞こえた。
窓が開いていたから、隣のクラスにまで聞こえてしまったのでは、と心配になるくらいに。
「無理です、やりません、却下」
私の代わりに、なんの表情も出さず答えたのは勿論由良くん。過保護で心配性な彼が良い顔をするはずが無い。



