エンドロールの先でも君を恋うから


私よりもキッチンに立つ回数が多い睦希に「弥衣ちゃんにはできないよ」って笑顔で言われたから、絶対に出来ない。確定事項。



睦希が言うことは絶対だ。



髪はひとつ縛りでまとめて、使う材料は机の上に、食器は水洗い済み、手も洗って、もう始められる状態まできた。



「じゃあ桜名さん、メレンゲ作って」



渡されたのはハンドミキサー。由良くんがボウルに入れてくれたものを混ぜていく。



ガシャンッ



冷や汗が出るような大きな音を立てたのは、由良くんが私に背を向けて次の準備をしてくれている最中。



ハンドミキサーの勢いに負けて中身は飛び散って、挙げ句にボウルを落とした。



「...片付けから始めようね」


「ごめんなさい」



それから、1工程につき1回は失敗して、由良くんを困らせた。



指示待ち人間として今日は来たはずなのに、それすらも出来ないなんて。



「由良くん、粉粉にならないで混ぜられた」


「粉全部飛んでるからだね、周りが悲惨だよ」


「由良くん、どうして生地固まらないんだろう」


「一つ一つがでかすぎるんだよ、力士に食べてもらうの?」