エンドロールの先でも君を恋うから


名指しのおかげでクラス全員分の視線が注がれる。



前にいる由良くんに横に首を振って答えるけれど、微笑むだけで何も言ってくれない。



「じゃあ次は衣装作り、装飾、メニュー考案だとか色々────」



理解の遅い私を置いて進んでしまう由良くんへの矢印は、ギザギザで刺々しいものだった。



うちに秘めておくことは出来ないくらいの大きな矢印。



「由良くんのこと、初めて恨んだ。
由良くんなんてシャープペンの芯落として全部使えなくなっちゃえって。夜ご飯は由良くんの嫌いなピーマンになりますようにって。」


「桜名さんそんなに長文話せるんだ。ってかなんでピーマン知ってるの」



土曜日の午後、長い廊下は殺風景で人も居なければ色も無い。



ところどころに小さく書いてある落書きは、由良くんが隣にいなければ見つけられなかったのかもしれない。



ふと病院の廊下を思い出して、心臓が拒否するように鳴っているのが耳元まで響く。



「...どっちみち料理できないだろ、接客で正解」


「聞こえてるからね由良くん」



意地悪なのに優しい声音。魔法みたいに不安が消える。



...魔法使い、だったりして。もしそうだとしても驚かないだろう。