エンドロールの先でも君を恋うから


「弥衣!どうだったどうだった?面白かったでしょ?私は当て馬の子...あ、黒髪のほうが好きでね」



観る前とは打って変わって、満足気な顔をしている月ちゃんと、後に続く瑞星くん。この様子なら寝ずに全て観ていたのだろう。



対して隣の彼は後ろ髪に謎の寝癖ができている。ぴょんと跳ねた髪の束を証拠に寝たのがバレてしまい、散々月ちゃんに諭されることになる。



月ちゃんはこれからバイトらしく、今日は日が落ちる前に解散になった。



「笑顔になった?」


「なったよ、待ち合わせの時から笑顔だったよ」



由良くんの手には夢宵桜のノート。



「暇だ」と言う彼にお願いして、月曜日に読むはずだった四つ目の願い事を前倒ししてもらった。



ベンチに座って開く準備は万端なのに、由良くんは開こうとはしなかった。



彼の名前を控えめに口にすると、彼も私の名前を呼ぶ。だけど、それは私が呼んだ「由良くん」の返事ではないことは彼の声の雰囲気で気づいた。



「待ち合わせって?瑞星と二人だった時?」


「そうだけど...」


「ふーん」



そうなんだ、って珍しく笑った由良くんはどことなく寂しそうで私は慌てて言葉を続けた。