結局、エンドロールが流れるまで由良くんが起きることは無かった。
「由良くん、由良くん。起きて、もう映画終わっちゃったよ」
CMでの予告で耳馴染みのある曲が流れる中、自分の肩を揺らして由良くんの頭をぐらぐらさせると、言葉にならない短い声をこぼした。
目を開けてすぐ飛び込んだのは、下から上へと流れていく名前。そんな状況にやってしまったと両手で顔を覆う。
「...どっちとくっついた?俺の予想、茶髪の方」
「うん、当たり。観なくても良かったね」
「桜名さん怒ってる?初めて見る顔だよ」
「.....怒ってないよ」
違う。怒っているわけじゃない。
映画の結末は世間一般的なハッピーエンド、いくら食べても減らないキャラメルポップコーンもとっても甘くて映画中ずっと幸せだった。
...ただ、由良くんとの距離が近すぎたから。
いつものことだと思って、慣れたと思って、肩に触れた体温だってそこまで意識はしていなかった。
でもどうしてか、バスケのシーンで不意に由良くんを浮かべてからずっとおかしい。
───由良くんのバスケのほうが格好良かった。
...ううん、違うの。この跳ねる心臓は、由良くん限定じゃない。



