「...まあ、それもある
でも桜名さんの隣で観たいからって気持ちのほうが大きいよ」
「...え」
やっぱり分かりずらいかも。
色んな話をしてきて、隣にいて、会話の仕方が掴めてきた今改めて思う。こういう人が人気者になるんだと。
薄暗いせいか、いつものように優しく微笑む彼に影が被さってどことなく切なさを感じた。
もの哀しい明かりも消えて、誰の顔も見えない程の真っ暗闇に包まれると、スクリーンに映る可愛い女の子。
この物語はバスケ部の男の子と、そのマネージャーの恋とバスケを描いたもの。月ちゃん情報では、ヒロインを取り合う三角関係。
月ちゃんは主演の俳優さんが大好きで、出演しているドラマ、映画は欠かさず観ているらしい。
好きなものが題材なら由良くんも寝ないで観られるんじゃ...
────そう思ってから十五分して、彼のぬくもりが肩に触れた。
近くて横を見ることもできないけど、静かなシーンになると小さく寝息が聞こえる。
ダンダン、とバスケットボールが体育館の床を蹴る音。キュッキュ、とそれと同時に鳴るシューズと床の摩擦音。
隣への意識を途切れ、あの日に見た光景と同じものに目を奪われる。



