「...あ、ありがとう!それにさっきのも心配してくれたんだよね、由良くん私の弟みたい」
「は...」
弟って.....とまた納得できないみたいに眉をひそめる。
こうやって話さなければ知らなかった。無愛想だと思っていた由良くんには表情がたくさんあること。怖い人なんかじゃないこと。
由良くんは私にとっての陽だまり。冷たい氷みたいな私の手を握って優しさをくれる。
でも、いつかはその手を離さないと、彼まで冷たくなってしまうから。
それはきっと優羽がくれたノートが必要なくなってからなんだと思う。
「弥衣の隣がいい!」
「俺だから。芹沢は瑞星の隣」
10分前の放送の後、聞き覚えのあるやり取りを聞きながら中に入る。
席の予約を事前にする、なんて考えは四人とも無くて、いざ座席表を見て絶句した。
公開してすぐの、しかも今人気のイケメン俳優が主演。おまけに先着順でミニポストカードが付いてくるらしく、それもひとつの理由にあげられる。
そうなると四人で並んで席が取れる訳もなく、二人ずつ席が分かれてしまった。
公平にグーとパーでわかれて片方が月ちゃんと瑞星くん、もう片方は由良くんと私。



