「───秋頼!」
学校の門を出ようとした時、後ろからの声に三人同時に振り返った。
由良くんを呼び止めたのは私たちのクラスの担任の先生。
二十代前半なのに、担任とバスケ部の顧問も任されているような、しっかりした先生。私が休んでいる間も逐一様子を見に家まで来てくれた。
さっきのバスケの試合では先生の怒号が体育館中に響いていて、ある意味試合よりも衝撃を受けた。
「調子大丈夫か?後半へばってたしあんまり無理すんな。まだまだ病み上がりだろ」
「平気だから」
病み上がり?由良くんが?
そんなこと一言も言ってなかったはず。どこかが悪いんだろうか。
「そう言って結果入院するぐらいだっただろ!学べ!」
「入院…?」
「桜名さんは聞かなくていいから。ほんとやめて、全部崩れる」
「体調が…?」
うんざりしたような顔で私の前に立つ由良くんは、心做しか焦って見える。
それほど大病なのか、私に聞かれたくないことは確かだ。



