そう宥めるけど、次は左側か右側かで争い出した。
喧嘩するほど仲がいい、とも言うけれど、この二人はその言葉に当てはまらない気がしている。
…三人でいるのは初めてなのに、どこか心地いい
抑揚の凹凸がないのに優しく聞こえる由良くんの声のせいか、私を包んでいるあったかい月ちゃんの手のせいか。
きっと、どっちにも私は救われてる。
私は、三人で屋上で話した日から数日してやっと学校に行くようになった。
「桜名さん来た。おはよ」
SHRが始まる五分前、教室に入ってきてカバンも置かずに私の席に来た由良くん。
かがんで私の顔をじっと見つめると、昨日みたいに頭にポンと手を置いた。
その瞬間、周りから短い悲鳴のようなものが聞こえる。しかも一人じゃない、教室の色んなところから聞こえた気がする。
おそるおそる廊下の方を見ると、登校してきた他のクラスの人達も私たちのことを見ている。
…そうだ、由良くんは人気者だった。
接点ゼロだった私達がこんなふうに話すのなんて、他の人から見たらびっくりするに決まってる。
数日一緒にいて距離感がおかしくなってしまったらしい。



