エンドロールの先でも君を恋うから


優羽は書くことが好きだった。



将来は脚本家になって物語の中の主人公を、端にいる脇役まで全員幸せにしてあげたい、とかなんとか。



彼はいわゆるバッドエンドが苦手で、そんな結末の映画を観たあと二週間は引きずる。



“現実にバッドエンドは付き物だろうけど、フィクションに必要?たとえライバルのポジションだとしても、報いは受けてほしい”スタンス。



そういえば、私たちを結んだのもカップに書かれた文字だった。



絵は見るに堪えないほど下手くそなのに、文字は人を惹きつけるくらい上手。



入院中は、むしろ好都合だというように物語に夢中になっていた。



私がお見舞いに持ってきたリンゴも、窓から見える空、人、目に映るもの全てが優羽には物語の材料に変わっていく。



書くことに没頭しすぎて月ちゃんに「お見舞い来てるんだけど!」と叱られていたこともあった。



懐かしさに頭痛を感じて思い出は奥底にしまう。後ろでまた二人が揉めている声があっという間に私を占めた。



「俺ここ座ろうとしたんだけど」


「私が弥衣の隣だから!」


「…両隣空いてるから喧嘩しないで」