「はい、おしまい」
「邪魔しないでよ由良!弥衣は由良より何百倍も私のことが好きなの!絶対渡さない!」
立ち上がった由良くんが私の肩を後ろに引いて、強制的に月ちゃんと離れさせた。
不可抗力なのか、月ちゃんは私の両手を由良くんとは逆方向に引っ張る。
何故か由良くんも対抗して手を離さないから、そろそろ体が真っ二つになりそうなところでか細く声を出した。
この調子だと、ノートをめくるのは明日になりそうだな
そう頭の片隅で思ったのは、綺麗な夕焼けが見えてきた頃。
由良くんの足元に置かれたカバンの上にある夢宵桜のノートは、夕焼けに映えて深い橙色に染まっていた。
いつ、このノートを書いたんだろう。
まさか人の前で書くことは無いだろうし、入院する前に書いたのかもしれない。
…自分がいなくなるって分かってたってこと?
もし入院中に書いてたんだとしても、そうじゃなきゃ書くはずがない。
でも入院は、数値に異常があったからだって優羽は言っていたし、優羽のお母さんからの電話でも“容態が急変した”って聞いた。
念の為?



