エンドロールの先でも君を恋うから


睦くんと相合傘なんて、いつぶりだっけ。


小学生の頃は傘なんてささずに水たまりに入って泥だらけで帰ったりしたこともあったっけ。



睦季は小さい頃はやんちゃで手もつけられないぐらいだったのに、学年が上がるごとに落ち着いていった。



今までは私が睦季の手を引っ張っていたはずなのに、今日は睦季が私の手を引いていた。



「…睦季、大きくなったね」


「弥衣ちゃん、弟の成長感じるくらい長く閉じこもってたっけ?」



名前を呼ばれる度に芽生える違和感



…なんで弥衣ちゃんって呼ぶんだろう。つい最近までは呼び捨てだったはずなのに。



三回のノックを始める時に初めて呼ばれて少し驚いたけど、あえて何も聞かなかった。



「ただいま」


「た、ただいま」



気まずさと不安を吹き飛ばすように勢いよく家のドアを開けると、待ち構えていたかのような早さで出迎えてくれる母。



「おかえり」といつもと変わらない笑顔で迎えてくれた。



ご飯の匂いがする。



昨日までは部屋に届くこの匂いだけで気分が悪くなったのに、今は何ともない。