エンドロールの先でも君を恋うから


初対面のはずなのに、得意のコミュニケーション能力でぐっと距離を縮めていく由良くん。



少しずつ二人の髪が濡れて、肩が濡れて。傘は差してほしいけれど、私が割り込んで会話を途切れさせるのは気が引ける。



「多分180くらいです
…由良、さん?あの、俺とどこかで会ったことありますか?」


「ううん、桜名さんから弟君の話聞いてたから。じゃあ俺はこれで、また明日ね桜名さん」



遅い時間まで連れ回してごめんね、と一言足してこの場から去ろうとした。



だけど、それを止めたのは睦くんで、私の差している傘ではないもう一本の傘を由良くんに手渡した。



「これ良かったら。一本でも十分、二人入れるので」


「え、いいの?サンキュ、睦季君。」



嬉しそうに微笑む由良くんの笑顔は、どんよりした灰の背景なんて目に映らないくらいに眩しかった。



私の持っている世界の中で一番、彩度が高い人。



“今日”の私を救ってくれた君は、一体何者なんだろう。