エンドロールの先でも君を恋うから


「あー、そういえば今日雨だった」



ぽつ、ぽつ、と伸ばした腕の上で、空から落ちた雨粒がブレザーの紺色を更に深くする。



電車から降りた時には既に、空は夜を匂わせる暗い灰色の雲で覆われていて、天気予報も見ずに出てきたことを後悔した。



無いとわかっていてもカバンの中身を漁ってしまう。結果は予想通り。



天気予報を見たような口ぶりなのに、私と同じように傘を持っていない由良くんは、なんてことないように屋根の無い外へと踏み出した。



…まあ、濡れたっていいか。





「──いた、弥衣ちゃん」



声をかけられたのは駅から出てすぐの事で、由良くんの家が私の家とは真反対だと知った後、その聞き慣れた声が耳に届いた。



「睦(むつ)くん?」



目線を上げた先に立っていたのは弟の睦季(むつき)で。



二本の傘を手に持って壁に寄りかかっていた彼はジャージ姿のままで、スマホ片手にこちらに手を振った。



「雨降る予報出てたから迎えに来た、もう暗いし。…こちらの方は弥衣ちゃんの友達?」


「由良です、桜名さんとは同級生で。
弟くん、中三だって言ってたよね?すげえ、背何センチ?高校生にしか見えないんだけど」