───今日思い返すと、その日からはさほど経っていないように感じる。思い出すと胸が痛むし、高鳴る。



きっと弥衣にはもっと長く思えたはず。無理やり前を向いて、生きる選択をする為にかけた時間は俺には一生分からない。



目の前で静かに涙を流しながら聞く弥衣は、なにを考えているのだろう。



俺の目の淵に溜まっているものと同じ意味のものなら、これを愛しい物語だと感じるなら、ハッピーエンドと呼んでいいのではないか。



優羽はどこかで見ている気がする。



これは今伝えないといけない。



君は俺の生きる意味だったって。前を向く矢印だって。



「弥衣が世界で一番大切だよ。
君が柵の向こうを選んでも、俺じゃない誰かの隣で生きることを望んでも.....ずっと好きだ」