喉の奥が痛むのを感じながら必死に涙を飲み込む。
彼女は知ってるんじゃないか。俺が隠した本当の自分を。
...そんなことあるはずないのに、見透かされている気がする。
それからわずか数日、なぜか弥衣の様子が変だ。
まずあのまんまるの目が合わない。俺しか見えてないんじゃないかって勘違いするほど見つめるその瞳は、若干斜め下を向く。
それに、彼女からはフワフワな言葉しか出てこないのかと思っていた。
「ひとでなし」
初めての弥衣からの言葉の暴力。めちゃくちゃ痛くて本当に倒れそうになるほどに深い傷ができた。なんなら声が出そうになった。
それを言ったら、何も言ってくれない弥衣に「可愛くない」と焦って呟いたのもきっと弥衣に刺さったはず。
落ち着け。このままじゃ喧嘩になる。
弥衣と話せないのなんて耐えられる気がしない。
「アリス」
「白雪姫!」
文化祭の衣装決め、何度このやり取りをしただろう。正直アリスでも白雪姫でもいいから、着てくれればいい。
...出来れば俺の衣装と同じ世界にいるアリスがよくて意地を張ったけれど。
どれを着たって一番に可愛いって言いに行くから。



