それから二週間、ノートがめくれなかったのは幸か不幸か。
こうやって先延ばしにしていれば傍にいてくれる、なんて都合のいい話だ。
桜名さんがいなくなる可能性、あとどれくらいある?
やっとノートをめくれたと思えば、入院していたことをバラされたり。
甘いもの好き設定のせいで二重人格になったり。
何番かに「実行委員をやるように」って書いてあったのに、不手際で俺がやることになっていたり。
そんな多少のアドリブはあったけれど、桜名さんはノートをめくるごとに少しずつ笑顔が増えていった。
あの頃みたいに“そのままの幸せ”を願うようなことはしない。
俺は知っている。ずっとこのまま、なんて願いは叶わないから。
変わっていく形の中で、変わらず桜名さんの隣にいられたらいい。
...このまま、生きたいと願ってくれれば。
そんな俺が隠している秘密がバレそうになったのは、夏休み中に四人でプールに行った日のこと。
「秋頼だ!元気だった?」
「体調崩してたって聞いたよ、大丈夫?うちの学校でも.....」
「ルナ、あっちで話そ。ごめんね、待ってて弥衣。すぐ戻るから」



