「...そんな端っこにいたら落ちるよ」
いかにも初めて会ったかのように振舞ってみせる。
そんな全てを諦めたような顔しないで、抱きしめたくなるから。
俺が傍にいるからどこにもいかないで。
口には出せない言葉を心に吐いて、俺にとっては何度目かのノートを開いた。
その後、ページをめくるために喫茶店に寄ろうと考えていたけれど、失敗ばかりだった。
一つは昇降口で、手を離せなかったこと。
どこまで話していいのか、次のページになんて書いてあったんだっけ、とか。
それよりも、桜名さんが今にも消えてしまいそうで、無意識に強く手を引いていた。
大丈夫、ここにいる。隣で息をしてる。
俺はずっと、優羽の考えた役を保つことに必死だった。
それは喫茶店に着いてからも同じことで。
...ここでブラックコーヒー頼んで、桜名さんだけパフェにさせるわけにもいかないだろ。
甘いものが大の苦手な俺はそう気づいた瞬間、冷や汗をかくほど、平然とは真逆の位置にいた。
どうにでもなれとでもいうように溢れるほどのトッピングを選んだことは、後日芹沢に大笑いされるのだけれど。



