エンドロールの先でも君を恋うから


「よろしく、お願いします」



十個叶えることにしたよ、優羽。これでやっと少し君に近づいたかもしれない。



「じゃあ行くぞ」


「え、あ、行くってどこに…」



と言い切る前に私の腕を引いて歩き始める。



なんとなくで手を差し伸べてくれたり、何も言わずにこうやって腕を引いたり、突拍子のない人。



だけど、良い人なのはわかる。



「一つ目の叶えに行くんだろ。桜名さん他にカバンとかは?」


「ううん、今日はこれ以外何も持ってない」



小さめのトートバッグに、このA5サイズのノート、財布にスマホ。


今日は職員室に寄るだけだったし、一年生の頃に使っていたリュックサックは使わなかった。



階段を降りて由良くんのカバンを取りに2-1に向かう。由良くんの教室ってことは同時に私の教室でもあるんだけど。



「失礼します…」


「ふ、桜名さんもこのクラスなのに。席は窓側の一番後ろ。」



由良くんが帰る準備をする間、教えてくれた私の席に座った。