エンドロールの先でも君を恋うから


退院できたのはそれから二週間後。



桜はほとんど散っていて、踏みつけにされている茶色の花びらに心が揺さぶられる。



いつからこんな繊細になったんだ、俺は。



新しくなったクラスには仕組んだのかと疑うくらいに固まっていた。



休んでいたはずなのに委員長にされていて、しかも指名したのが芹沢さんだと判明。文句と共に、その日からさん付けはやめた。



五月に入ってすぐの放課後のこと、まだ来ていないはずの彼女が屋上にいるのを見て教室を飛び出した。



飛び降り...?


完全に油断してた。芹沢に連絡、は後だ。



息を整える余裕なんて無くて、すぐに屋上の扉を開ける。



向かい風がビュウ、と音を立ててその強さに思わず目を瞑るほど。



いた。



確かに彼女はそこにいた。



ほっとして崩れそうになるのを必死にこらえる。



彼女は振り向くと怯えたように俺を見るけれど、どうやら飛び降りる気は無いらしい。



手にはあの夢宵桜のノート。



あの頃よりも随分とやつれていて、風が吹けば意思がなくとも飛ばされて落ちてしまいそうなくらいに足元がおぼつかない。