それは、夜が更けた時だった。
本当に優羽の状態が悪化して、手を握っていた俺は体温が下がっていくのを静かに見ていた。
なにか治療をほどこすわけでもなく、家族は泣いていて、優羽はそれでも柔らかく微笑む。
エンドロールでも見ているんだろうか。いつでも映画ばかりの優羽のことだから、有り得る。一番最初には桜名弥衣とでも書いてあるはず。
でも。
「...まだ、エンドロールは早いだろ」
「.....そ、う?」
それでも変わらずエンドロールは流れていく。終わりまであと少し。
…たとえ終わったって、この後に何も無いって決まったわけじゃない。
エンドロールの先にだって物語は作れる。
「優羽、俺は必ず桜名さんと生きる」
「...ふたり、の、そばに.....いる」
「うん」
「.......生きて」
桜名さんが来る前に病室を出る。行くあてなんて無いから、無意識に足が向いた通りに歩いていたら、いつの間にか外に出ていた。
外の風が冷たいからか、震えが止まらない。笑った顔を浮かべてしまえばもう駄目だった。
どこかで一人にしないでと泣き声がする。



