エンドロールの先でも君を恋うから


売り言葉に買い言葉。今まで優羽とこんなに言い合ったことなんてなかったから、言い合っているはずなのに少し吹き出しそうになった。



そんな言い合いは、看護師の注意で終わる。



一瞬だけ静かになる個室。無音を遮ったのは俺ではなくて、優羽の笑い声だった。



「...ふ、ははっ」


「おい優羽、体に悪そうな笑い方すんなよ」


「なんだよそれ。
僕、秋頼が幼馴染でよかった。弥衣と出会えてよかった。二人に幸せでいてほしいから、僕の台本よろしくね」



おまけにその口の悪さを何とかしなよ、と痛いところをつかれて、俺らの最初で最後の喧嘩は終わりを告げた。



普通、どんな時だって他の人に自分の愛する人を頼んだりしない。



優羽だって、出来るなら俺に渡したりなんてしたくないんだ。



どれだけあの子のことが好きなんだろう。



俺には想像できないほどの気持ちがあのノートに載っているとしたら、それを彼女に伝えなければ。



「秋頼、もしあの台本を読み終えたら弥衣に伝えて。
───僕がいなくなっても、弥衣が僕を忘れても、ずっと愛してる。って」


「会わない気か?」


「今日、好きも可愛いも、ありがとうも、全部伝えたから。消える前に見るのは弥衣の泣き顔じゃなくて、頭に浮かぶいつもの弥衣がいい」