ノートを指さす手が震えているから。死というものを目の前に突き出されて、それも大事な人だ。平気でいられるわけがなかった。
「弥衣、多分俺の葬式には来ないと思う。...自分もいなくなりたいって思うんじゃないかって」
「...否定はできませんね」
「俺のこと大好きだからなあ、弥衣は」
ああ、まずいな。
俺もそう思うかもしれない、なんて間違ってるのに。
「弥衣が俺の方に来ないためのノート、だよ」
開いてみると、言っていることと書いてある内容は真逆だった。
“ねえ、じゃあ弥衣もこっちに来る?”なんて。これでその気になってしまったらどうするんだ。
だけど、読み進めると違った。
彼女の道を広げるための内容だと。優羽がいなくなっても進んでいけるように書いたものだと。
これを叶えるためにあの子に協力してあげろというのか。そんなの、まるで。
「秋頼、前に約束したよね。僕の書いた脚本で、秋頼が演じるって」
これが台本だとでもいうような。
最初で最後だからって言うんだろ?そんなの狡いって。
...それでも、優羽の夢を叶えられるのは俺だけだ。



