エンドロールの先でも君を恋うから


「どうしてか、聞いてもいいですか」


「あー、なんとなく?理由はない。ただ桜名さん、誰か助けてって顔してるから。
…そのちっさい手で死ぬほどの辛さ抱えてるって聞いたら、手取りたくもなるだろ」



ひどく優しい顔をする由良くんにも、なにか辛い出来事があったのかもしれない。



その笑顔には何かを背負ったような重みを感じた。



出された手をそっと握ると、体全部を引き上げられて目線が近づく。



といっても、頭一つ分くらいの身長差はあると思う。



春と呼ぶ四月の割にはひんやりした風が、由良くんの猫っ毛な黒髪をふわりと揺らした。



ああ、生きてるんだって、ごく当たり前なことでそう思うことが多くなった。



手段なんて、正直なんだっていい。あの願い事を叶えられれば全部終わる。



───由良くんなら、私が消えても平気なんじゃない?



なら、使ってしまおう。



最低な私は、由良くんなんて一ミリも見えていなかった。手を握った今でも、私は優羽しか見ようとしない。



そう、この時までは。



と言い切る前に私の腕を引いて歩き始める。