由良くんの不安げに揺らすこの瞳をつくったのは私だ。
私に明日があるかわからないから。
由良くんの言葉に救われるばかりで私の言葉を伝えたことがなかったから。
私がどうしたいか、願おうとしたことがあったんだ。
私はマイクも持たずに口を開く。
「秋頼くん」
「...え」
『───合図にしよう、俺に頼りたい時とか、必要な時。』
全てが嫌いだった。優羽を連れていった神様なんて、私を一緒に行かせてくれない神様なんて、もう知らないって。背いてしまえって屋上のあの柵に足を掛けた。
あの人は、私に同じ場所にいてほしいなんて願っていない。
わかってる、わかってるけど、私は貴方に会いたいよ。
大好き、愛してる。置いていかないで。...でもね。
「...私、生きたい。
柵を越えたりなんてしない...したくないの。私はこれから、由良くんの隣にいたい」
由良くんが隣にいる限り、生きていたい。
今生きている理由を聞かれるなら、由良くんだ。これからもそうでいたい。
七夕の日、本当は<生きたい>って書いた。
由良くんに伝えられなかったのはまだ踏ん切りがついていなかったから。もしも今優羽に会ったら絶対に揺らぐと思った。



