エンドロールの先でも君を恋うから


体調不良って、さっきまであんなにいつも通りだったのに?絶対嘘だ!?



「代役、だれ?いや、なんで?」



そんな慌てふためいた私を置き去りに、練習で散々聴いた入場のBGMが流れる。



急な王子様の欠場にザワザワし始める観客席を再び歓声で包み込んだのは、その代役がステージに立った時。



どうしたって思い浮かぶのは一人しかいない。



「それでは花嫁の登場です!」



拍手の先にいたのは、不機嫌そうに袖のボタンを留めている彼。エナメルシューズのかかとが折れている。



それでも、私に気づくともう目を逸らしたりしなかった。



直前で頼まれたのかな、そんなに見つめなくたっていいのに。



距離を縮めていくにつれて胸の鼓動が早くなる。観客の目が私を捉えて、あと五歩、四歩、三...



「っひゃ」



足がもつれてバランスを崩し、転ぶと目を瞑った瞬間、すぐ目の前の彼に抱きとめられる。



私の纏っているものと同じ白い衣装が目いっぱいに映った。



「今日は良い意味でも悪い意味でも目が離せないね、花嫁さん」


「...ありがとう、由良くん」



冷やかしに近い歓声の中、体勢を立て直して由良くんの隣に並ぶ。その声は、彼にだけ向いた黄色いものもあって、ここに立つのが私でいいのかと頭を抱える思いだった。