「今日はもう遅いから、やるのは明日か」
「そうだね...由良くん、ノートの前にいっこだけ、どうしても今日聞きたいことがあるの」
「ん、なあに?」
大丈夫、由良くんの全部が偽物なわけがない。そんなの、私が一番よく知ってるじゃない。
朝、ふんわり柔らかいと思っていた風は耳を刺すように吹き抜けていく。雑音が混じるせいか、どうしても不安がぬぐえない。
「由良くん、────優羽のこと知ってたんだよね」
その時、初めて目を逸らされた。肯定と捉えるしかないその動きに心が沈む。
「...このノートの事も、知ってた?」
私もどうやら由良くんみたいに相手の考えていることがわかるらしい。それとも、由良くんがわかりやすいのかな。
彼は何かを言いかけるように口を開くけれど、すぐにそれを抑えるように噤む。
憤りとまではいかない。それでも何かが湧き上がっていく気がして、手のすぐ傍にあったスカートの裾を握りしめた。
「私と知り合ったのは優羽に頼まれたから?」
「.....今は言えない」



