エンドロールの先でも君を恋うから


「おはよ」


「…おはよ由良くん」



新学期初日。手で触れられるならきっととびきり柔らかいであろう風が吹いて、少し短くした髪を揺らした。



夏休みを振り返ると、瞬きする暇もないほど短い時間に感じる。



それくらい充実して、夏に馴染めた。



夏らしいことは全部したし、文化祭の準備だって順調。おまけに学校の自販機には、私の好きな桃のジュースが増えていた。そう、全部上手くいってる。



...はずでしょ?



「あのさ弥衣、今日ずっと目合わないのなに?」


「そんなことないよ」


「そんなことなかったら朝の挨拶が昼になること無いだろ」



曖昧に笑って返しても、不満そうに眉をひそめる彼がはいそうですかで納得するはずがない。



私だって作りものの笑顔返してるじゃん、言える立場じゃない。由良くんにも事情がある。わかってる。



「可愛くない」



イラ。



今由良くん小声でなんて言った?女の子に向かってそういうこと言う?


というか、由良くんだって作りものなくせして自分のこと棚に上げて...



不満ばっかり出てくる頭の中を無くしたくて、ぶんぶん横に振る。生憎、月ちゃんも瑞星くんも席を外していてストッパーの役割を果たす人はいないのだ。