エンドロールの先でも君を恋うから


...あ、そうだ、由良くんの腕時計返すんだった。



プールに行った日、貸してもらったパーカーの中に入っていた、もうすっかり見慣れた銀色の腕時計。洗濯する前に気づいて良かった。



未だに会話の途切れない二人を横目にリビングから出て二階へ上がる。



地面を打ちつける雨音はどこかに消えていて、まだ暗い空の雲から光が漏れていた。これなら安心して由良くんを家に帰してあげられるだろう。



ブー、ブー.....



部屋に入ろうとした時に聞こえてきたのは、小さな震えた音。



目の前にある私の部屋ではなく、少しだけ扉の隙間の空いた隣の睦希の部屋からだった。



一度止まった音は、続けて二回、三回と鳴り響く。



半分開けた扉を閉め、隣のドアノブに手をかける。



急ぎかもしれないし、と扉を開けてすぐ目に入ったのは、音が鳴り続けるスマホよりも、ベッドに広がっているアルバムだった。



小さい頃のアルバムを見る母を嫌そうな目でやめてくれと訴えていたはずなのに。寧ろ小学生の時は背が小さくて写真すら嫌がっていた気がする。



なんでこんなに広げてるんだろう。



ひとつを除いて他のアルバムは端に寄せられていた。この唯一開いてあるアルバムを探していたかのように。



これ、覚えてる。バスケのクラブに入って初めて勝った試合だ。



“違うクラブの子たちと試合。お母さんは見に来ちゃダメって言われたけど来ちゃった。”




「...え?.....なん、で」



睦希たち小学生組が並ぶ後ろで、肩を組む中学生くらいの男の子たち。吸い込まれていくように目線がそこへ縫い付けられる。



────並んで写っていたのは間違いなく優羽と、由良くんだったから。