エンドロールの先でも君を恋うから


「待って、卵の殻入ってる。混ぜる前に取って」


「あれ、りんご持ってたはずなのに...」


「弥衣、火から目離さない。りんごは後ろの棚の上」



甘いコーヒーを空にした後、料理を教えてほしいと両手を合わせて彼にお願いした。



毎日のように私を世話するように扱ってくれる睦季のために、たまには何かしたいと思い立ったのはいいものの、どうしたって一人では逆に心配をかけてしまう。



「明日何も予定無いから。弥衣とまだいられるの嬉しいからいい」



顔のどこにもシワを作らないような薄い微笑みで、何作るの?なんて聞いてくるから、つい甘えてしまった。



ああ、人のために行動することと人に迷惑をかけることが紙一重なんて、知らなかったな。



そろそろ独り立ちという言葉を頭と体に覚えさせないといけない。



「────やっば。これ、本当に二人が?」



睦希は信じられない、とでもいうように隠しもせず口をあんぐりと開け呆けている。随分と珍しい表情をする弟を横目で見つつ、その気持ちにまったく同感だった。



いつも使っている食器のはずなのに、上に乗るものが違うだけで雰囲気が変わっている。