「...次はそこのジェラートが食べたい、な」
「ん、行こ」
優しく笑むから、今日くらいはって思ってしまう。
こうやって由良くんの隣にいたら、つい甘えて、幸せと一緒に体重まで増えてしまう未来まで見えた。
気をつけなければ。
そう思いながらお腹いっぱい膨れるほど食べてしまって、罪悪感もいっぱいになった頃。
「お着物、素敵だね」
「着物?」
淡い千草色にレースが付いた着物を纏った女の人とすれ違う。草履の音が遠ざかった時、隣に共感を強いるけれど、いまいち見ていなかったらしい。
その人の他にも着物姿が多く、まさか赤の他人なので、そんなにじっと見つめることは出来ないけれど、思わず見とれてしまう。
そういえば、着物レンタルできますって張り紙があるお店が所々にあった。
「着る?着よっか、行こ」
「え、え、由良くん!」
何も言っていないのに歩き出す由良くんの手をぎゅっと掴んで足を止まらせる。
由良くんの珍しくキラキラした目は私に“楽しみ”と伝えているみたいに見えて、なんだか可愛い。でも。
「真夏に着物は暑くて駄目です」
青天の霹靂、とでもいうような顔をする彼は、やっぱり少し抜けている。



