エンドロールの先でも君を恋うから


八月に入ってから行った水族館は私が提案したもので、じゃあ次は俺が、と言ってくれたのだ。



待ち合わせが最寄り駅だったのは、ここから電車で移動するかららしい。



「行くとこ決めてあるんだけど、二つあって。弥衣、AとBどっちがいい?」


「じゃあ...“あきより”の、A?とか...」


「...狡くないそれ」



ずるいずるいと繰り返す彼は、こちらを見ない。



みるみるうちに赤く染っていく由良くんの横顔を見すぎて、両目をおっきな手で隠された。



「たち悪いですよ桜名さん」


「慣れないと呼びたい時呼べないでしょ?」



ため息をこぼした後手の隙間から見えた由良くんの表情はいつも通りの無に戻っていた。



そんなこんなをしていたらあっという間に電車が来て、そこから六駅。



いざ着くと、そこは降りたことのない駅だった。



溢れそうな人だかり、たくさんの食べ物のお店の通り。見た目だけで楽しくなる場所に目を輝かせた。



「人混み平気?」


「うん、こういうの楽しい!というか、私よりも由良くんのほうが苦手じゃないかな...?」