上から降ってくる声は刺々しくて今にも噛みつきそうな機嫌の悪さに、腕の中で大人しくしているしか無かった。
胸元に軽く触れる由良くんの腕が規則正しく小さく跳ねるのは、私の心音のせいで間違いない。
「...夏音、モモタ。知り合いじゃなかったら蹴飛ばしてたかもね」
「勘違いだよ秋。偶然会ったから話してただけだよね?弥衣」
「は、なに、その話し方と笑顔。嘘っぽ」
今まで無口だった左側の人が、わざとかのように都合の悪い時に口を開く。
その人にモモタ感は無いから、勝手に元気な人をモモタさんだと予想。
知り合いだったことに驚いた反面、初対面なものの顔のいい三人と顔のいい由良くんが仲が良くても違和感のない光景だと思った。
そんな彼たちの外見のおかげでたくさんの人がこちらに注目していて、耐えられず由良くんの腕に更に埋もれる。
「キラはいいの!?」
「キラが女の子に話ふっかけることなんて無いだろ。なあモモタ、弥衣になんて話しかけたの?」
「じゃ、じゃあもう行こうかな!秋、ヤヨイちゃんまたね!」
瞬間、モモタくんは今にも震え出しそうな夏音くんとずっと無表情のキラくんの腕を引いて走るように去っていった。



