プールサイドに座って足だけ水の中に沈める。
あの後、元々の色白にまた別の良くない白が加わったような彼の顔色を見て乗るのは無理だと判断した。
前の二人に声をかけて階段を下る最中、ポツリと呟いたのは、高いところじゃなくて滑り台が苦手だってこと。
ジェットコースターはもちろんのこと、ブランコだとか車に乗っている時のでこぼこ道も嫌らしい。
それから今に至り、比較的人の少ないプールで待つことになった。
「そんなの普通。楽しい思い出なんだから、悲しくならなくて当然。
...二人の思い出は、もうこれから先弥衣しか覚えていられないんだよ。思い出す度に弥衣が悲しそうにするのは俺が嫌。きっと優羽さんもそう。」
少し目線が下がっただけで「何かあったの」って問う彼に、足を水面に浮かせながら話すとすぐに返ってきた言葉。
でもそれを頷いてしまえば、優羽と私の距離が手の届かないくらいになってるってことだ。
既読になることは無いとわかっているのに、気まぐれで送ったメッセージとか。家に置いておいた優羽の好きなゼリーがいつ見ても減らないとか。
そんな些細なことで君がいないことを実感する。実感する度に思い出に変わっていく。



