エンドロールの先でも君を恋うから


「じゃあ桜名さんは誰と乗るの?」



現状の高さから意識を飛ばすように目を閉じ、聞く気はないと耳を塞ぐから、どうしようも無い。



夏休み前までだったはずの苗字を口にしてしまうくらい、余裕の無いことはバレバレだった。



表情が無くても分かることが増えてくる。比例して思い出も両手に抱えるほど増えて、テストで言うところの満点だろう。



おまけだと言って由良くんが百二十点足してくれそうな毎日に、何故か今、笑みが零れた。



「...ふ、ふふ」


「笑ってます?弥衣さん?」


「耳塞いでも変わらなくない?高いところって視覚以外に刺激されるの?」



そういえば、優羽からも同じような話を聞いたことがあった。



怖さでいっぱいいっぱいな友達を見て吹き出しちゃったんだって楽しそうに話す姿に、その人が可哀想だと言ったけれど。



優羽が思わず笑うことなんて滅多に無いから、私も見てみたいな、なんて思ったんだっけ。



今の私なら優羽と一緒に笑ってしまうだろうな。



...え、あれ?



なにこれ、なに?どうして?



────私今、優羽のこと思い出しても、悲しくならなかった?