「肌焼けるし、俺の着ていいよ」
なのに、見上げた彼の唇の端は少しも上がらない。それどころかこんな炎天下に薄手のパーカーを着させられた。
さっきまであんなに楽しそうに笑ってたのに。
声を掛けていた子達と比べて私はキラキラが似合うような雰囲気では無いかもしれないけど、いつもより外見を気にしたはず。
夏に似合うメイクを月ちゃんから教わったり、ボディクリームはいつも付けているのよりも良い香りのものにしたり。
もし口に出さずとも良いと思ってくれていたとして、言葉未満だったとしても。
由良くんの口から聞きたいよ。
...あ、わたしのこれも言葉未満だ。
「弥衣、具合悪い?」
心配そうに顔を覗き込む由良くんを見ると、言いづらい事でも不思議となんでも言える。
逆に言えば、なんでも見透かす色素の薄い瞳に見つめられたら嘘はつけない。
「...褒めてほしい」
動きが止まる彼を見てから数秒、私は逆に頭が冴え切って、変なことを口走ってしまったことに気付き、口を抑えた。
そんな事をしたって出てしまった言葉が返ってくるはずも無く、そのまま沈黙。



