背もたれに頬杖をついて、聞く体勢を取る由良くんに目を輝かせる月ちゃん。
瑞星くんはどんな子が好きそうか、どうしたら意識してもらえるか、だとか。
月ちゃんと由良くんが話している間、私は由良くんの真後ろで、体勢的に目が合うことは無い。
それが少しだけ寂しかったり。
こっち向いてくれないかな。
ばち。
そう思った瞬間叶えてくれる魔法使いの由良くん。意地悪が口から出る顔をしている。魔法に代償は付き物らしい。
「寂し?」
「...ぶどう一個分くらい」
「ふは、初めて聞いた」
小さく笑いを零した由良くんと、これ以上見透かされないように目を逸らした私。それどころではない月ちゃんはスマホで“可愛い仕草”と検索しては、悶々と考えている。
寝返りが多い瑞星くんに違和感を持ちながら、目的地まで月ちゃんの相談を受けていた。
「ひゃー、人多いね…!」
「今年にできたばっかりだもんね…」
プールには、青い床の隙間が見えないくらいの人が入っていて、かといってプールの外でも数歩歩くと誰かと肩がぶつかるくらい沢山の人が歩いている。
「あ、でも深めのプールは空いてる...わっ」
すれ違った人が持っていた大きい浮き輪が顔に当たってよろけてしまう。だけど、由良くんが腕を掴み転ぶことは無かった。



