気づけば見慣れた淡黄色のベッドの上だった。
対して机の上には見慣れないノート。お葬式に行った私の母が置いていったもの。
きっと優羽が最後、優羽のお母さんに頼んでいたものがこれだろう。
……ゆめ、よいざくら
「なんで楽しかった日のこと、思い出させるようなことするの?
店員さんのままだったら、こうならずに済んだの?あのスリーブを外さなかったら……」
店員さんとお客さんでいれば、優羽が寂しさを倍にすることはなかった。
宝物とも呼べる思い出を捨てたくなることもなかったのに。
「全部、消えたらいい!
もうなにも...なにもいらない」
私はお葬式に行けなかった。
もう、何もしたくないから。
学校に何日行ってないとか、自分の格好がどうだとか、考えることもしなかった。
ノートを開いたのはそれから三日後。
なんでもいいから優羽を近くに感じたくて、夢宵桜のノートを手に取った。



