エンドロールの先でも君を恋うから


トントン、と足音が聞こえてくる。リビングに近づいてくる、何処と無く焦ったような足音は睦希だった。



「どうしたの、汗だく。おかえり弥衣ちゃん」



畳んであった洗濯物の中からハンドタオルを取り出して渡してくれる。



仕事で帰ることすらままならない日もある母の代わりに、家事は俺がやると当たり前のように笑った。



マカロンを作った日以来、料理も睦季の隣で練習しているけれど、「弥衣ちゃんとやると晩ご飯一時間遅くなる」とそれはもう迷惑そうにお断りされて。



受験勉強の真っ最中なのに、自分よりも家族な睦希は本当に思いやりのある優しい子。



だから、私の言葉が睦季の心の深いところに残って抜けなくなったの。



麦茶飲む?と冷蔵庫に行く睦季の腕を引いた。二人分の重さがソファに沈む。



「睦季ごめんね...私、ずっと気づかなくて」


「なんで泣くの?ほら座って」



テレビから聞こえてくるニュース番組を消して、もう氷の溶けた麦茶を飲み干す。



「うわ、もう水だ」とわざと空気を読まず笑った睦季は、私の心を解していった。