エンドロールの先でも君を恋うから


「なあに、弥衣」



丁寧に、大切そうに、その温かい声音に乗って呼ばれる名前に、頬が熱くなった。



でも私は欲張りだから、余裕のある由良くんに少しモヤモヤするから、特別な時だけにはしてあげない。



『───弥衣』


...あれ?


『弥衣ちゃん』



何故か今、弟の声が胸の内に響いた。小さい頃呼ばれていた名前、雨の日のどこか遠慮がちに呼ばれた名前。



引っ掛かりはしたものの、一人称が変わることはおかしくないし、心変わりかなにかだろうと思い込んでいた。



呼び方が変わったのって、いつだった?気がついたのは、確か.....



「あの日だ」



次が読めるものの七番目のお願いを読むことは後にしてもらって、帰り道の途中で由良くんと別れてから一気に家まで走った。



信号の赤に苛つくほどに余裕が無い。



ガチャン



こんなに走ることなんて滅多に無いから、酸欠寸前で息を大きく吸う。ローファーを揃えることなくなだれ込むようにリビングへと足を進めた。



リビング、じゃない。