エンドロールの先でも君を恋うから


最近、よく知らない気持ちが心を占めている。あの屋上で、映画館で、家庭科室で。決まって彼がいる時だった。



だけど、生まれたばかりのこの気持ちに名前を付けるのはまだ早い。



いつか名前が付いたら。



...その時は。



「秋頼、くん」



この心臓のバグバクした音に耳が慣れるまで、正面にいる彼の目は見られないと思う。



あと何回呼べば、彼の瞳に映った私を見ることができるだろう。



「...無理」



ぽそっと呟くその声には余裕が無くて。落ち着いた胸と同時に彼を見上げた。



「やっぱ由良くんでいい、心臓壊れる。特別な時だけ呼んで。
合図にしよう、俺に頼りたい時とか、必要な時。すぐ飛んでくから」


「...由良くんは?」



“名前を呼び合える人”だから、由良くんも呼ばないと意味が無い。



...ううん、ノートよりも、由良くんに名前で呼ばれたい。



私は恥ずかしいからいいよ、なんて言葉を想像していたのか、変わらない表情の代わりに、口をポカンと開ける。



意表を突かれた顔をする由良くんを見ると嬉しくなる。一枚もそれ以上も上手な彼の袖口を引いて同じ高さにしてしまいたいのだ。



それでもそんなに上手くはいかない。