優羽に触れられなくなって、目には見えなくなって、全部消えたんだと思った。



私が捨てたものを一つずつ拾って「これが幸せだよ」って教えてくれたのは由良くんで。



「私がもらえる幸せの二倍、由良くんが幸せでいられますように」



彼の手を握ったまま、そう呟く。



短冊とは違う言葉を。



「十倍は欲しい」


「欲張りだね」



ゆっくり名残惜しそうに手を離して、また由良くんが寝転がると、星が数えきれないくらいに増えていた。



端から数えてもその間に増えるんだから、意味無いよね。



隣の人以外なら誰でもわかること。



「いーち、に、さーん……は、増えてね?」


「由良くん、この前のテスト学年一位だったよね」



そんな何気ない話をしていれば、あっという間に時間は経った。



星の川がかかるくらい。



ぼやけた白い雲のような星の集まりが流れるような線を描く。真っ暗だったはずの空は、天の川が通る部分だけ青白く輝いていた。