足音が遠ざかって、ふう、と一息。
これからの不安がどうしても拭えない。十月開催とはいえ、夏休みを挟むからそこまでの時間はない訳で。
何をどうしたら彼と手を繋げるんだろう。
「桜名さん、夏音と話したことあったっけ」
「無いよ?」
そう返事をしても声が返ってくることは無く、自分の席に座って書類を広げた由良くん。
なにやら難しいものばかりに見えて、勝手に不安になって、焦ってしまう。
「...あの、私も手伝いたい」
「助かる。こっちおいで」
由良くんが二つの机をくっつけた。引いてくれた椅子に座ると、五枚くらいをホチキスで束ねた紙を渡される。
「時間ある時買い出し行くから、その書類見て必要なもの書き出してほしい」
真っ白な紙と、教室の装飾の下書きの紙。
「わあ…!可愛いね、すごい」
おとぎ話といっても一括りにはできない色んなお話があるけれど、この下書きは、瞳をキラキラさせてしまうような魅力のあるおとぎ話のイメージにぴったりだった。
きっと小さい子でも楽しんでもらえるような装飾。
その右下には小さく“由良”の文字。



