『ここには何でもあるよ。好きな事をしたらいい』

王子様が片手を離して空中にかざすと,フォークに刺さったマシュマロが。

『待ってて。チョコレートだってあるよ』

パチンと王子様が指を鳴らすと,王子様の言った通りに,溶けたチョコレートの入った器が出てきました。

ーどうして私の好きなものを知ってるの?

『それは…秘密』

王子様は答えてはくれませんでした。

代わりに,チョコレートを潜らせたマシュマロを,女の子の口元に。

『はい,あ~ん』

パクリと女の子は喜んで口にいれました。

ーん~! 美味しい! とっても素敵ね。

2人は尚も踊ります。

『…ねぇ』

カツンと靴がやけに響いたとき,王子様は女の子を支える手に,強い力を加えました。