前回の読書会は水曜日だったので、あっという間に約束の土曜がやって来た。

昨夜は、

「先輩。明日、すっぽかさないで下さいね!」

森川は、電話で念を押してきた。

忘れるわけないじゃない…。

そんなこと、言えやしなかったが。

今日もいつも通り、のんびり朝を過ごしていたのに、約束の1時間前になって、私は急に焦りを感じた。

これは一応、デートになるのだろうか?

クローゼットを見ても、周りから奇抜だと思われるような服しか持っていないことに、おもむろに気付く…。

いいや。

私だけ意識しすぎても格好悪いし、いつも通りでいたらいい。

そういえば…“恋が実るヘアコロン”などというキャッチフレーズの、爽やかな香りのスプレーを持っている。

まともに使ったことはなかったが、初めて使うことにした。