ここは、地元のターミナル駅付近にある市民会館の一室。

市が運営する、月に一度の読書会の開催場所だ。

15分前に到着した私は、顔馴染みのメンバーたちと挨拶を交わした。

今月の課題図書は、恐怖のストーカー小説「リカ」である。

この読書会では、古典文学もごく稀に扱うが、国内の現代作品が課題図書として選ばれることが多い。

(この小説自体は凄く好きで、シリーズ全部読んだけれど、タイトルがちょっとね…個人的には)

私の名前は、早月里佳子。

昔から、「リカ」や「リカちゃん」と呼ばれていたので、1年前に初参加した時、特に何も考えず、ネームプレートに「リカ」と書いてしまった…。

まさか「リカ」が課題図書になる日が来るとは思いもせずに。