翌日から僕は学校を休み始めた。

そして、冬休みに入り、三学期が始まった。

僕は澪に会いたくなくて、学校に行きにくくなっていた。

そんな感じでダラダラと毎日を過ごしていると、2月に入ってしまった。

僕は通信制の高校に入るつもりで、担任の先生や優兄さんに手伝ってもらって願書を提出した。

隣駅にある為、電車通学も苦ではなく、作文試験だから勉強も必要ない。

もうすぐ受験当日な事もあって、明日は登校する気でいた。

澪はあの日から来てるだろうか。

明日来ていたらどうしようか。

そんな事を考えながら眠りにつき、気づけば朝になっていた。

「おはよう。今日は登校するよ。」

「おぉ。おはよ。それじゃあ送ってくから早く朝飯食いな。」

洗面所で顔を洗い、朝食を食べ、2ヶ月ぶりに制服に袖を通した。

優兄さんの車で学校まで行くと、相変わらず昇降口は静まり返っていた。

保健室の扉を静かに開けると、芝山先生が笑顔で迎えてくれた。

しかし、いつもの風景ではなかった。

何が違うかというと、澪が窓辺に居ない事だ。

「おはよう。久しぶりだね。元気だったかな?」

軽く会釈し、いつもの定位置に荷物を置いた。

ベッドの整理をしたり、窓辺に寄りかかり空を眺めたりしたが、どうしても前のような気分にはなれなかった。

理由はわかっている。澪がいないからだ。

僕はどうしても気になって、芝山先生に尋ねた。

「あの…澪は休みですか?」

芝山先生は少しだけ迷った顔を見せた。

「…うん。上原君と同じ時期からずっと来てないよ。」

やっぱりあの日から澪も保健室には来ていないのか。

「上原君、もしかして澪ちゃんの事聞いてないかしら。」