緊張し過ぎて中々寝付けず、気づけば鳥の囀りが聞こえてきた。

でも不思議と眠気は吹き飛んでいた。

翌日、待ち合わせ時間よりも早く家を出た。

最寄り駅に集合の予定だ。

今日の空は雲一つ無い快晴なのに、肌に突き刺さるような冷たい風が吹いた為、少し身震いをした。

こんなんなら、マフラー買おうかな。

そんな事を考えながら待っていると、向こう側から手を振りながら走ってくる澪の姿が見えた。

「ごめん!!待たせた?寒かったでしょ?」

「ううん、大丈夫。じゃあ行こうか。」

僕が改札を通ろうと歩き出した時、澪が僕の腕を掴んだ。

「ん?何?」

「あ、あの。一応デート…みたいなのだから、手…繋ぎ…たい。」

恥ずかしそうに手を差し出す澪の顔は赤く染まっていた。

「ぅぅ…嫌ならいいの。ごめんね。」

まだ返事もしていない内に歩き出した澪の腕を今度は僕が掴んだ。

そして、目を見開いている澪に手を差し出した。

「ん。繋ぎたいんだろ?」

少し動揺しながら手を重ねた澪の手を優しく僕の手で包み込んだ。

澪の手は小さくて細かった。

少し力を入れれば折れてしまいそうなくらい細かった。

そして、冷たかった。

僕は自分のコートのポケットに手を繋いだまま突っ込んだ。

澪は小さく驚いた声を出していた。

「こっちの方が温かいから。迷子にならなくて済むし。」

「…意外とこういうの慣れてるの?もしかして、そういうのをやる相手がいるとか?」

「全然初めてだから。彼女とか出来たことないし、そもそも男女関係なく人を好きになった事すらも無いんだから。」

「…え。それはそれで心配になるけど。」

「逆に澪は好きな人とか出来たことあんの?」

「んー。無い…かな。」

「一緒じゃん。」

そんな話をしていると、目的の駅に着いた。

改札を出て、プラネタリウムへ向かっている間は学校の話や昨夜のテレビの話などで盛り上がったが、澪が中心に話していた。