クリスマスイブ前日の夜。

僕は優兄さんとばあちゃんに明日の服装を相談していた。

「どっちがいいと思う?ばあちゃん。」

「んー。ばあちゃんはこっちかね。」

「俺も。」

二人は僕を置いて話を進めていく。

「真昊はどっちがいいんだよ。」

「分からない。誰かと出掛けるなんて久しぶりだし。」

僕は父親とも母親とも出掛けたことはなかった。

友達もいない為、私服で外に出るなんて小学生以来だ。

「どこに出かけるんだ?」

「プラネタリウム。」

「プラネタリウムか。んじゃこれでいいんじゃね?」

優兄さんが選んだのは、紺のセーターに白のスキニーを合わせたシンプルなコーデだった。

「これに俺のコート貸してやるよ。」

「ありがとう。」

枕元に置いて明日の準備はできた。

「なぁ。彼女?」

「な、なんで。違うから。」

「分かりやすく焦るじゃん。片想いとか?いいねぇ。青春だねぇ。」

「うるさい。もう寝るから。おやすみ。」

「はいはーい。おやすみ、真昊。」

まだニヤニヤしてる優兄さんを無理やり廊下に追い出し、乱暴に扉を閉めた。

怒りとは違うドキドキが止まらない。
この感じは何なのだろう。