僕の目線と彼女の目線が合った時、彼女は少し笑って

「初めまして。私は加上 澪(かがみ みお)。3年5組だよ。君は?」

僕は少し驚いた。

彼女への第一印象は物静かで余り喋らない人だと思っていた。

でも、今の喋り方は明るくフレンドリーな感じがした。

少し戸惑いながらも僕は挨拶をした。

「僕は上原真昊。3年5組。よろしく。」

彼女はパッと顔を明るくして笑いかけてきた。

「私と同じクラスなんだぁ。嬉しいなぁ。ねぇ真昊って呼んでもいい?」

いきなり下の名前で呼ばれたので少し驚きつつ頷いた。

「やった!!私の事は澪って呼んで?」

女子の事を下の名前で呼ぶのは少し気が引けたが、嬉しそうな顔をしている彼女を見ていると断れなくなり、

「わかった、澪。」

「えっ!!呼び捨て!?」

「…嫌だったなら澪さんにするけど。」

澪は頭をブンブン振って少し恥ずかしそうに言った。

「全然嫌じゃない!!いや、男子に呼び捨てされるの初めてだから。それに呼び捨て苦手そうな顔してるから。」

そう言って隣のベッドを慣れた手つきで整え始めた。

5分も経たずに澪は綺麗にしてしまった。

「初めてなんだ。」

僕が小さく呟くと、澪は少し驚いた顔をした。

「女子の事呼び捨てにする事も、女子に下の名前で呼ばれる事も。」

澪は暫く驚いていたが、直ぐに笑って

「そうなんだ。まぁそんな感じがする。真昊、固そうだもん。」

そう言って澪は窓辺に寄りかかった。

「今日の空、綺麗だよね。」

空を見つめる澪は瞳は少し寂しそうに見えた。

そういえば、澪の目は薄花色(うすはないろ)で周りの目の色とは違かった。

ビー玉の様に透き通っていて綺麗だった。

でも何故そんな目の色をしてるのかは聞いてはいけない気がした。